見出しを示す罫線 その3
またまた「見出しを示す罫線」を取り上げてみます。
こちらをご覧ください(↓)
(↑)こちらも工藤強勝氏によるデザイン。
『紙の大百科』(美術出版社)の116ページより
引用させていただきました。
ただこちらでは分かりづらいので、
これから説明したい箇所を拡大してみます(↓)
(↑)こんな感じ。
見出しやリードの横に表罫(→用語解説)
が用いられてることにより、
静かな緊張感と知性的な印象が与えられています。
縦線も横線も、文字の幅より長いですが、
これにより空間の広がりが暗示されています。
空間の広がりを暗示と書きましたが、
じゃあ、罫線と文字の幅が同じだと
どうなるでしょうか……?
(↑)こんな感じ。
全体から動きがなくなり、
おとなしくまとまりすぎてしまうと思います。
では、また別の作例を検証してみます(↓)
(↑)こちら。文字と罫線の間に空間を設けた例です。
不自然な空間が緊張感を無くし、
文字を引き立たせる役目を無くしてしまうほか、
罫線が独立した意味を持ちすぎてしまいます。
続いての検証画像(↓)
(↑)表罫を裏罫(→用語解説)にしてみた例です。
罫線が文字に対して主張しすぎてしまい、
知性的な印象が無くなってしまいます。
続いての検証画像(↓)
(↑)表罫と波罫(→用語解説)にしてみた例です。
罫線が独立した意味を持ちすぎてしまい、
どうして波罫なのかという理屈も伴いません。
知性も緊張感も全く無くなってしまいます。
(↓)続いて…
(↑)続いて取り上げるのが、
米谷テツヤさんがアートディレクションを手がける
「+DESIGNING VOLUME23」
(毎日コミュニケーションズ)の表紙です。
(↑)こちらが一部の拡大画像。表紙の見出しの
すぐ上に罫線が用いられています。
見出しを目立たせる効果に加え、
情報を区切る効果も担っています。
しかし、また検証を加えて…(↓)
(↑)罫線の位置と見出しを離してみると、
情報を区切る効果はあるものの、見出しは目立ちません。
続いてこちら(↓)
(↑)先に紹介した「+DESIGNING」と同じく、
見出しを目立たせる効果と情報を区切る効果の
両方を担っていますが、ここでは
「見出しの示すもの(書体)はどれか」
という方向線としての役割も担っています。
(『秀英体生誕100年』〈大日本印刷〉26ページより)
とりあえず今回はこんなところ。