デザインと罫線

グラフィックデザイン(とくにエディトリアルデザイン)における、効果的な罫線の使用法を紹介していきます。

見えないものを暗示させる罫線 その2

おとといに引き続き
「見えないものを暗示させる罫線」の
第2回目です。

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こちらは『ピカイチ事典・からだの道具篇2010-11年版/5歳若い自分に戻る本』
カタログハウス)という本、32ページの全体をスキャンしたものです。手首の写真に注目、下に罫線が用いられています。これによって、手首が何か別の場所(机の下など)から出てきたかのように暗示することができるのです。

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▲試しに罫線を消してみましたが、
突然手首が出てくると、
なんかグロテスクに見えませんか?

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▲やはり罫線があるもののほうが安心して見られます。

……なんですけれど、(これはどんなデザインにおいても言えることなのですが)どの場合においても罫線を使えば良いかというと、やはりそういうわけでもなくて、罫線を使うことなく、以下のように表現されることもあると思います。

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▲縁と影をつけて、写真を切り抜いたことを前面に押し出す加工。かわいい系・ポップ系のものでよく見られる気がします。コラージュの一部分として使われることもありますね。上で示した「単に罫線がないもの」よりはワンクッション置かれている感じです。

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▲写真の終わりをグラデーションで透明にしていく加工。写真が手首である以上は、前のパターンも含めて「ややグロテスク」なのを回避することはできないのですが、何も加工されてないものよりは安心して見られると思います。