デザインと罫線

グラフィックデザイン(とくにエディトリアルデザイン)における、効果的な罫線の使用法を紹介していきます。

コントラストを調整する罫線

文字への下線が、コントラストを
調整していたことは、
前回の記事で触れたとおりです。

さて、こちらの画像をご覧ください。

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ドラフトの「デザインするな」という
本をめくっていたら、
こんな不思議な広告があったのです。
ボディコピーの横に、黒い罫線がある。
では、実験的に
この罫線を無くしてみましょう。
こちら。

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なんだかふわふわと浮いた印象になります。
キャッチコピーと
ボディコピーの間にある余白が、
妙に目立ってしまいます。

つまり、最初にあった黒い罫線は、
紙面下部にある写真の黒味と、
紙面上部にある文字の黒味の
バランスを取っている
と推測できるのではないでしょうか?

ただ、これを「罫線」と呼ぶのか
「面」と呼ぶのかは難しいところ。

なので、どこまでが罫線で
どこからが面なのかを、
ちょっと検証してみましょう。
まずはボディコピーの幅を
元からあった黒ベタに合わせた例。
こちら。

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黒ベタそのものの大きさは
変わっていないため、
罫線と呼ぶことが可能でしょう。

次は、黒ベタを、
元からあったものよりも
少し広げてみた例。
こちら。

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このあたりから難しくなってきます。
「罫線」と呼ぶか「面」と呼ぶかは
受け手に拠るのではないでしょうか。

そして黒ベタとボディコピーの幅を同じ
にしてみました。こちら。

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もうここまで来ると罫線と呼ぶのは難しい。
完全に「面」でしょう。

また、こんな例もありました。

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日本ビクター(現 株式会社JVCケンウッド)の
「GR-C7」というビデオカメラの広告です。
商品の写真が大きいときは、
その下にある罫線も太いのですが、

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商品の写真が小さいときは、
その下にある罫線も細いんです。

こちらも紙面全体のバランスや
コントラストについて
考えられた結果なのだと思います。