デザインと罫線

グラフィックデザイン(とくにエディトリアルデザイン)における、効果的な罫線の使用法を紹介していきます。

下線と傍線 その2

気づいたら、このブログを立ち上げてから1年くらい経ってました。そして今年に入ってからは全く更新していませんでした。すみません。あらためて、こちらに書き記します。

さて。ひとつ前に書いた「下線と傍線」の続きです。
まずはこちらの画像をご覧ください。

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むかしの伊勢丹の広告です。シャープで素敵ですね。

このキャッチコピーの部分に注目してください。
「傍線(ぼうせん)」が引かれていることがわかります。

しかし、前回

縦書きでは「下線」ではなく「傍線(ぼうせん)」という呼び名になり、文字の右側に罫線が引かれます。

と書いたのに対して、これは左側に引かれています。

これはおそらく、

「キャッチコピーと写真の間を区切る」ことで、
写真をより強調していると推測できないでしょうか? 

続いてこちらの画像です。

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大塚製薬カロリーメイト」の広告。
(年間広告美術1986〈美術出版社〉より)

キャッチコピーに下線を引くことによって
文字列を強調する働きがありますが、
これを取り去るとこうなります。

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下線が無いと、なんだか不安定な感じがしませんか?

白めの写真と広い余白の中で、文字が浮いてしまいます。

けれど、この
メインビジュアルを伊勢丹の広告に変えてみましょう。

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なんと! 下線が無いのにもかかわらず
キャッチコピーが安定しました。

けっきょく、キャッチコピーが浮いてしまう理由は、
広告の紙面上下にコントラストが無かったからなのです。
実際に採用された「カロリーメイト」の広告では、
下線が、そのコントラストの役割を担っていました。

下線や傍線が「文字列を強調する」以上の働きを持つことが、
今回の記事でお伝えできたかと思います。