デザインと罫線

グラフィックデザイン(とくにエディトリアルデザイン)における、効果的な罫線の使用法を紹介していきます。

カギ型の罫線 その1

f:id:ogurayuta:20130709150826j:plain

▲画像出典=an・an 1990年9月21号(『本と雑誌のデザインがわかる本』〈ソシム社〉174ページより)

新聞レイアウトの手法は、雑誌『an・an』で応用されました。これに対してグラフィックデザイナーの工藤強勝(くどう・つよかつ)氏は、以下のように分析しています。

日本の新聞レイアウトは、どのタイトルも始まりは揃っていない。これはテクニックが必要なコラムの作り方ですね。こうなっていると頭から読んでいく必要はなくて、見出しだけ見て、好きなところから読めてしまう。

情報ブロック間の罫線に対して、工藤氏は

なんとなく囲んでいるように見えますが、固くならないように、ぬけ道を作っています。

と分析し、当時『an・an』のデザイナーを務めた鈴木誠一郎氏も

しっかり囲んでしまうと閉塞感が出ます。

と述べています。

ここで使われたのは「カギ型の罫線」です。これは四辺すべてを閉じた「四角形の面」を暗示しています(受け手に想像させています)。しかし全て閉じてしまうと閉塞感が生まれ、ひとつひとつの要素が独立しすぎてしまうこともあるため、デザイナーはあえて「カギ型」を選択しているのだろうと推測します。

f:id:ogurayuta:20130710131342j:plain


(引用元=『本と雑誌のデザインがわかる本』〈ソシム社〉174〜175ページ)

本と雑誌のデザインがわかる本

本と雑誌のデザインがわかる本